(篠原 信:農業研究者)

 NHK「ためしてガッテン」で、面白い実験が行われていた。男性ばかり、女性ばかりそれぞれ数人をひとつの部屋に入れ、「お呼びするまで、少々お待ちください」と言って、放置しておくというもの。

 女性ばかりの部屋では、「あなた、どちらからいらしたの?」など、他愛のない話から始まって、おしゃべりに花が咲いた。すぐに打ち解けた空気になって、楽しそう。

 これに対し、男性の部屋は。「遅いですねえ」「そうですねえ」。以後、沈黙が支配。最初の言葉だって、相当長い間沈黙が続いた後でようやく出てきた言葉だが、それを受けて出た言葉も、言葉のキャッチボールになりえないような反応。

 隠しカメラでこの様子を見ていたスタッフ。会話の手助けになるかもと、それぞれの部屋にケーキを運び、「お待たせしてすみません、出番までもう少々時間がかかりそうなので、ケーキでも食べてもうしばらくお待ちいただけますか」と声をかけた。

 そしたら女性の部屋では、そのケーキをきっかけにして、さらに話が膨らみ、おしゃべりがさらに盛んに。

 これに対し、男性の部屋は。「おいしいですね」「そうですね」。以後、沈黙。その後、男性と女性で、空間を分けたらどうなるかという実験だった、と明かされて、男性たちは苦笑いしていた。

 どうも、男性だけだと、会話が弾みにくいらしい。

男性はすぐ「マウンティング」したがる

 私自身が経験したことをひとつ。ふたつの大企業の方を引き会わせる機会があり、一緒に食事をすることにした。参加者はみな男性。すると、それぞれ大企業にお勤めのお二人は、「マウンティング(位取り)」を始めた。自分はこんな大きな取引をまとめたことがある、という話を片方が始めたら、もう片方も、私は何十億の案件を取りまとめて、と来て、そしたらもう片方が、いやいや私は百億単位の案件を・・・会話は弾んでいるようで、「俺の方がでかい仕事をしている!」といったマウンティングというか、意地の張り合いをしていて、見ていて楽しかった。