製パン業界が「無添加」表示の自粛へ舵を切った理由

日本パン公正取引協議会が「自主基準」作成

2019.09.13(Fri)佐々 義子

 そこに2018年10月、消費者庁表示対策課より「イーストフード、乳化剤不使用」などの強調表示は、消費者に誤認を与える可能性があり、「包装食パンの表示に関する公正競争規約」と照らして対処するように、との連絡があった。

 これを受け、同協議会は当該強調表示の妥当性について科学的に分析するとともに協議を重ね、強調表示は「誤認を与えるおそれのある表示」と判断し、自主基準の作成に至ったという。

客からは「添加物は害があるはず」との問い合わせも

 この経緯について、6月27日に開催された「第3回食品添加物表示制度に関する検討会」でヒアリングに応えた山崎製パン食品安全衛生管理本部長・松長明弘氏の資料と議事録からも、詳細を見てみたい。

山崎製パンへの問い合わせ内容全体と、食品添加物への問い合わせ内容。(出所:消費者庁「第3回食品添加物表示制度に関する検討会」での山崎製パン提出資料を参考に作成)
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 冒頭、同氏は、お客様相談室に2018年4月から2019年3月までに寄せられた問い合わせの中で、「添加物に関する問合せ」は2.3%であり、そのうちの59.6%が「安全性に関する問合せ」で、その内容は「添加物は害があるはずだ」「イーストフード、乳化剤を使用しないで欲しい」などといったものだと述べている。そして、このように、食品添加物が安全でないと誤解されている状況を改善する取り組みを、国としても徹底してもらいたいと訴えている。

 同検討会では、「イーストフード、乳化剤不使用」などの強調表示自粛に関する説明が行われた。消費者団体に所属する検討委員からは「強調表示を行っている会社はこの基準に納得しているのか」「この自主基準ができたことによって、会員会社が退会することはないのか」といった旨の質問が出され、上記の松長氏は、自主基準は「全員の合意」によるものと答えた。また、「食品添加物と代替品を使った場合に違いはないのか」との旨の質問に、松長氏からは「物質的には変わらない」との答えがあった。

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