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 僕は、「創造主」という意味での「神様」のことは、信じていない(いや、別にどんな神様もことさらに信じてはいないが)。しかし、物理学に関する本をさまざまに読んでいると、ときどき「神様、なんでこんな風に世界を作ったん?」と問いただしたくなるような話にたくさん出会う。「現実は小説より奇なり」とはよく言う話だが、物理学を通じて世界の仕組みについて知れば知るほど、その思いはますます強くなっていく。

 物理学の世界には、「この世界は、人間という存在が生み出されるように細部が調整されている」というような主張をする「人間原理」という考え方もあるが(意見の分かれる考え方であり、現時点ではまだ多くの支持を得ているわけではないようである)、確かにそう言ってしまいたくなるぐらい、僕らが生きている世界はヘンテコなのである。

 今回は、そんな世界のヘンテコさ加減がわかる理系ノンフィクションを3冊紹介しようと思う。

ダークマターと恐竜絶滅になんの関係が?

「恐竜が隕石の衝突によって絶滅した」なんていう話は、今では常識とされていると思うが、『ダークマターと恐竜絶滅』(リサ・ランドール)を読んで意外だったのは、このことが学術的に確定したのは2010年だったということだ。確かに、学術的に物事を確定させるのには、様々な証拠や議論の積み重ねが必要だろうし、時間が掛かるのは分かるが、それにしてもつい最近であることに驚いた。1980年代にはむしろ、そうした考えは「異端」「頭がおかしい」と捉えられていたという。