この夏、久しぶりに高校時代からの気の置けない仲間たちと飲みました。
地元を離れているうえに、日常に追われていることもあり、自然と疎遠になる友人が多い中、こうして30年前に戻って懐かしい話ができるのは嬉しいものです。当然のごとく場は盛り上がり、共通の友人の消息などを聞いていくうちに、そろそろ同窓会を開こうか、という話になりました。
厄年、恩師の定年、母校の創立周年記念といったタイミングをことごとく逃してしまい、しばらく開催されていない我が同窓会。開催するとしたら果たして、どれくらい参加してくれるのか、怖いところはありますが・・・。
「同窓会に行きたくない」!?
ところで、ここ数年、「同窓会」というキーワードがネット上を賑わせていることはご存知でしょうか。それも斉藤和義が歌っている「ずっと好きだった」のような甘酸っぱい思い出に浸るような明るい話題ではありません。
なんと同窓会に参加したくない、という否定的なものばかりなのです。
例えば、2016年に温泉旅館の予約サービスを運営するある会社が行った調査によると、50代の直近の同窓会参加率は24.8%にすぎないことが分かりました。70代は62.8%、60代は42.5%と高い確率を誇っているのに比べ、その大きな低下が目を引きます。なぜリタイア世代に比べ、今の現役世代は同窓会への参加をためらう人が増えているのでしょうか。
その謎に迫っているのが『同窓会に行けない症候群』(鈴木信行著)です。
ネット上では、学生時代のクラス内の序列が影響している「スクールカースト説」や、過去の自分と比較されるのを嫌う「容姿の悪化説」がまことしやかに囁かれています。しかしこれらの説は、高い参加率のリタイア世代にも通じるはずで、いまひとつ説得力に欠けます。
そこで著者は視野を広げ、現役世代が社会人として過ごしてきた平成30年間の労働環境の変化に着目しました。経済成長の終焉、実力主義の浸透、起業の難しさなどさまざまな角度から検証した結果、ある仮説にたどり着きます。