米国のあからさまな批判が続くと、文在寅政権もこれに負けずに対応に乗り出した。28日、韓国メディアは政府消息筋を引用して趙世暎(チョ・セヨン)外交部次官がハリー・ハリス駐韓米国大使を外交部庁舍に呼び、GSOMIA破棄とそれに関連し、米国政府関係者の公の場での不満表明や発言を自制するように要請した、と伝えた。

在韓米軍基地の返還問題をカードに

 韓国外交部はこれに関する公式報道資料で、趙次官とハリス米大使との会談が「面談」であることを強調し、米国側に韓国の立場を「説明」したと説明したが、外交専門家やメディアは外交部の行動を事実上の「招致」と受け止めた。

「東亜日報」は、韓国政府が「事実上、米国大使を招致した」とし、「(韓国)政府が両国問題と関連して抗議の意味で駐韓米国大使を呼んだことは極めて異例であり、GSOMIA破棄による韓米間の破裂音が拡散する様相」と伝えた。

「韓国日報」も、「事実上の招致」という表現を使い、これは大統領府からの積極対応という注文によるものだと伝えた。文在寅政府の対日・対米関係を主導しているのは、外交部ではなく大統領府で、その核心には金鉉宗(キム・ヒョンジョン)安保室第2次長があるという分析も紹介している。

 8月30日、大統領府は、北朝鮮のミサイル発射時にもなかなか開かれなかったNSC(国家安全保障会議)を緊急開催し、在韓米軍駐屯地の早期返還を積極的に推進すると発表した。2003年、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代、北朝鮮の脅威が高まったことで、在韓米軍側は、主力部隊を漢江(ハンガン)以南の後方へ再配置する在韓米軍再配置計画を発表した。このため、在韓米軍は80個の駐屯地を韓国政府に返還することを約束し、2008年まで54個の駐屯地が返還された。ところが11年ぶりに突然、残りの26個の駐屯地に対する早期返還を積極的に推進する、と発表したのだ。

 このような一連の韓国政府の動きについて、大統領府では強く否定しているが、韓国メディアからは、米国の再三の圧迫に対して大統領府が対抗戦略を繰り広げている、という分析が多い。

「中央日報」は、「在韓米軍基地返還問題は、通常なら韓米間の事前調整を経て今秋に韓国で開かれる韓米年例安保協議会(SCM)で共同発表するのが自然だ」という元高官の話を紹介した。なお、「在韓米軍基地の返還問題は韓国が米国を相手取って攻勢的に使えるカード」「GSOMIAの破棄後、繰り返し圧力を行使している米国に対する韓国政府の対抗策」という話も出ていると伝えている。

「朝鮮日報」は、軍関係者の言葉を引用し、「大統領府の発表はあたかも米軍が約束を守っていないといった問題を提起し、米国に圧力を加えているような格好だ」「韓米関係が良くない状況で基地“移転”ではなく、基地“返還”という用語を使ったのは反米フレームを浮上させようとしているのではないかと懸念される」と伝えた。