9月2日、国会で「記者懇談会」を開いたチョ・グク前青瓦台民情首席秘書官(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領の最側近の曺国(チョ・グク)法務長官候補に対する各種疑惑をめぐって、文在寅政権と保守野党の激しい対立が続いている。そんな中、検察がチョ氏の疑惑に対する捜査に乗り出してから1週間あまり、くもの巣のように複雑に絡み合っていた疑惑が一つずつ検察の捜査対象に上がり出している。そこで見えてきたのは、一連の「チョグク・スキャンダル」が、文在寅政権を揺るがす「権力型スキャンダル」にまで発展する爆発力を秘めているという事実だ。

出資者全員がチョ氏一族の私募ファンド

 現在、検察が重点を置いて捜査する疑惑は、①チョ氏が74億ウォンの投資約定を締結した私募ファンド(PEF)疑惑、②チョ氏の母親が理事長を務めている熊東学園の債権・債務疑惑、③そして娘の不正入試疑惑だ。このうち、権力型スキャンダルに飛び火しかねない核心的な雷管は、怪しげな私募ファンドの疑惑だ。

「私募ファンド」(PEF)とは、金融機関が不特定多数から資金を集めて運用する「公募ファンド」と異なり、「私人間の契約」の形で、少数の投資家から資金を募集、運営するファンドである。主に未上場企業を買収し、経営改善で収益力を高めた後、上場したり企業売却したりして資金を回収する形で運営される。

 チョ氏が民情首席に就任した2カ月後の2017年7月、チョ氏の家族は「コリンクPE」が運用する私募ファンドに74億5000万ウォンの投資約定契約を締結し、妻と子供の名義で10億5000万ウォンを投資した。コリンクPEは現在、海外に逃避中のチョ氏の甥が実所有者と疑われている会社で、4つのファンドを運営している。この中、チョ氏の家族が投資した「ブルーファンド」は、6人の出資者全員がチョ氏の家族と、チョ氏の義理の弟(チョ氏の妻の弟)の家族で構成されていて、別名「チョグク・ファンド」と呼ばれている。しかも、チョ氏の妻が弟に3億ウォンを送金し、内訳にコリンクPEの頭文字を記入したことから、借名投資の疑惑も出てきた。