「キングメーカー」メガワティ党首

 8月15日付けの英字紙「ジャカルタ・ポスト」(ネット版)はこのメガワティ元大統領を「キングメーカー」と形容してインドネシア政治の裏舞台で策動する最近の様子を報じた。

 また同紙のベテラン記者で日本の大手新聞の助手も長く務めた経験のあるコルネリウス・プルバ上級編集長はスハルト独裁政権を崩壊に追い込む過程でメガワティさんが民主化運動の旗手として果たした当時の役割を実際に身近に取材した記者である。その経験からの思いとして「当時、国民の民主化を求める声を背景にした政治」がメガワティさん自身の人気・支持拡大とスカルノ大統領への尊敬が相乗して第1党、そして大統領になったと指摘。

 そして現在、ジョコ・ウィドド大統領の後ろであれやこれやと動いていることに対し「国のために権力志向に陥らず、スカルノ大統領の娘として国のあり方を何より優先し、スカルノ時代の過酷な政治を否定してきた市井の人々の心に寄り添うことに全力を注いでくれることを願う」と警鐘ともエールとも思える署名記事を掲載した。

 ジョコ・ウィドド大統領のこれまでの5年間の政権運営には、所属政党であるPDIPの意向、特にメガワティ党首の意向や思惑がある程度反映されたものだった。

 そして2024年までのこれからの5年間は、さらにメガワティ党首からの「プレッシャー」や「注文」が強まることが予想されている。

 その理由は2つあるといわれている。まず、「もう次はない」ことから所属政党の選挙での支持が不要になり、党の意向を反映することなく自分の思うままに政権運営が可能になるので、それへの抑止力あるいはブレーキを政党として発揮するため。

 そして「ポスト・ジョコ・ウィドド」の動きの中で最大与党としてPDIPが後継大統領候補を強力に押し込みたいという「野望」のためだ。

 PDIPとしてはメガワティ党首が党員に過ぎないジョコ・ウィドド大統領を指導し、同時にメガワティ元大統領が大統領経験者として、さらに国民の尊敬を一身に集める独立の父の娘としてインドネシアの現在の指導者に、と大統領を取り巻く3重のしがらみの中でどこまで自己流を貫くことができるのかがジョコ・ウィドド大統領のこれからの5年間の見どころの一つとなるだろう。

 下手をすれば執政に不慣れな幼い皇帝に対し、本来なら背後の簾の後ろにいるべき皇后や皇太后などの女性があれこれ指図する「簾政」あるいは「垂簾聴政」になりかねないのが今のインドネシア政治ともいえる。地方の知事経験はあるものの国政経験はわずか5年しかない大統領の後ろの簾には政治経験豊かで正統派の血統を引き継ぐ女性が控えているのだから。