開会のあいさつに立ったメガワティ党首は演説の中で「PDIPは総選挙で最大議席を獲得した。次期内閣では当然のことながら最大数の閣僚が選ばれることと思う」と述べ、次期大統領として組閣するジョコ・ウィドド大統領に「プレッシャー」をかけた。

8月10日、PDIP党大会最終日に新執行部メンバーの左からハスト事務局長、次男プラナンダ氏、右にプアン調整相の間で服務の宣誓をするメガワティ党首(筆者撮影)

 その後、演壇に上がったジョコ・ウィドド大統領は演説草稿を読み終えた最後にアドリブで「(PDIPからの入閣は)当然沢山になる」と応えて会場から拍手喝采を浴びた。

 このやり取りを翌日の地元紙は「党の指導者が誰であるかを明確に示した」「党のメガワティ体制がさらに強固になった」「大統領に堂々と注文をつけた」などと一斉に伝えた。

メガワティ党首と父スカルノの2ショット看板

 組閣の人選は大統領の専権事項ではあるが、続投して次期政権を担うジョコ・ウィドド大統領には与党各政党から自薦他薦の候補者から秋波が送られており、連日マスコミを賑わせている。

 PDIPも例外ではなく、一応ジョコ・ウィドド大統領の所属政党であることから、その党首であるメガワティ党首が「閣僚人選ではどうするかわかっているわね」と公の場で釘を刺した形となった。

 いくら自党所属の大統領とはいえ、閣僚の人選にまで堂々と「介入」するところに現在のインドネシア政治におけるメガワティ党首の役割がみてとれるといえる。この政治の黒子のような(別に隠れて暗躍している訳ではないので黒子とも言えないが)役回りはメガワティ党首が大統領経験者であると同時にインドネシア人の誰もが尊敬するスカルノ大統領の長女であることに依るところが大きい。

 党大会が開かれたバリ島はPDIPの牙城とされる選挙区で、街中にあふれた党大会の看板にはメガワティ党首と並ぶスカルノ大統領の写真が印刷され、スカルノ精神ともいうべき「スカルノイズム」の正統的継承者であることを印象付ける構図になっている。