「スカルノ氏を語る時メガワティさんが語られ、メガワティさんが喝采を浴びる時スカルノ氏も喝采を浴びる」という実の父娘という関係以上にこの二人はインドネシアの歴史の中で不可分の関係となっている。

スカルノ初代大統領(右)。メガワティ元大統領の母である第一夫人ファトマワティ(左)とリチャード・ニクソン副大統領とともに(1953年)

 それが「スカルノ一族」を一種の「神聖にして侵し難い」存在にして、政治の世界で暗黙の力を発揮するパラダイムとして作用し、機能しているのが今のインドネシアであるといえる。

次期党首、次期大統領を視野の党人選

 大統領は2期までという規定で2024年の大統領選にジョコ・ウィドド大統領は出馬できない。そのため、これからの5年間は次期大統領の座を誰が射止めるかという「ポスト・ジョコ・ウィドド」の政争になるということは誰もが予想していることである。

8月8日バリ島でのPDIP党大会であいさつするジョコ・ウィドド大統領(筆者撮影)

 そうした潮流の中でPDIP党大会では2024年までの党首はメガワティ党首続投で衆議一致し、党事務局幹部にプアン・マハラニ調整相(人材開発・文化担当)とプラナンダ・プラボウォ氏の2人が就任した。2人はメガワティ党首の長女と次男であり同時にスカルノ大統領の孫に当たる「スカルノ一族の直系血族」である。

 メガワティ党首は以前から長女プアンさんを後継党首そしていずれ大統領にとスカルノ一族の権力継承の構図を描いていたといわれている。しかし党内では次男プラナンダ氏の方が実務家としての評価は高く、後継党首に次男を担ごうとするグループ、さらに「一族支配」を脱してジョコ・ウィドド大統領を次期党首にと画策する一派と実は党内は「ポスト・メガワティ」では一枚岩ではないという複雑な事情を抱えている。