普通、日本の選手がダブルボギーを叩いて首位から陥落すると「やっぱり駄目か」と思わせる負けオーラが漂ってくるのだが、不思議なことに渋野選手には「勝ってしまうのではないか」という空気感がずっとあったのだ。優勝が決まったのは、日本時間で5日の午前3時頃だった。最後の18番ホールで7メートルくらいあるバーディパットを決めるのだが、この時も入りそうな雰囲気が漂っていた。

 イギリスでは「スマイルシンデレラ」と呼ばれたそうだが、常に笑顔でプレーし、ギャラリーの声援に応え、ハイタッチやロータッチを平気で行う渋野選手には、世界が驚いた。キャディを務めたコーチの青木翔さんも日ごとにギャラリーを巻き込み、味方につけていったと語っていた。

 優勝を決めるバーディパットが入った瞬間、渋野選手と決勝ラウンドの2日間を最終組で一緒に回った南アフリカのアシュリー・ブハイ選手が思わず両手を挙げていた。ブハイ選手は、2日目が終わった時点では単独首位に立っていた。そこで2位につけていた渋野選手と同組になった。ずっと優勝争いをしてきた選手である。その選手が思わず両手を挙げて喜んでくれる。こんなシーンは見たことがない。競り合う相手まで味方に引き込んでいたのだ。感心するほかない。

ひどかったフジテレビの“生中継”

 渋野選手の凱旋試合となる「北海道 meiji カップ」が8月9~11日の日程で行われた。この試合はフジテレビが中継することになっていた。

 もともと録画放送の予定だったそうだが、渋野人気にあやかって2日目の放送を急きょ地上波での生中継に切替えるという発表を行った。午後1時40分から同3時半までの生中継ということだった。