東京で記者会見に出席した全英女子オープン優勝の渋野日向子選手(2019年8月6日、写真:Motoo Naka/アフロ)

(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)

競り合う相手も味方につけた渋野スマイル

 8月4日(日本時間5日未明)、日本女子ゴルフ界に歴史的な瞬間が訪れた。なんと20歳の渋野日向子プロがAIG全英女子オープンゴルフで優勝したのだ。ゴルフ好きの私は、もちろんテレビで観戦していた。渋野選手は3日目が終わった時点で、2位に2打差をつける単独首位に立っていた。「もしかすれば」と日本のゴルフファンは誰もが期待を膨らませていた。

 その渋野選手がいよいよスタートとした。1番ホール、2番ホールをパーで通過した。無難な滑り出しだった。パー4の3番ホールも2オンに成功した。1パットで入ればバーディ、2パットならパーだ。ところが何と4パットもしてしまいダブルボギーを叩いてしまったのだ。アメリカや韓国の選手が追い上げてきており、この時点で首位から陥落してしまった。

 渋野選手は、一昨年のプロテストは不合格、昨年のプロテストで合格したばかりだった。今年から女子ツアーに本格参戦したばかりである。ただ5月に初勝利をあげ、7月には2勝目をあげていた。いずれも4日間大会での勝利だった。日本の女子プロは、日本女子オープン、日本女子プロなどメジャー大会を除くと3日間大会が主流だった。

 アメリカの女子ゴルフはほとんど4日間大会なので、それに合わせて日本でも4日間大会が増えてきている。日本の女子プロゴルフ協会が世界のレベルで戦える選手を育成するために意識的に取り組んできたからだ。

 渋野選手は、その4日間大会で2勝していたように、急速に力をつけてきたプロゴルファーではあったが、まさか全英女子オープンで優勝するとは、誰もが予想していなかったと思う。