「かつては1ギガバイトのデータを集め、保管するためにもそれなりの費用がかかりました。しかし現在はその費用が安くなっていて、今後もコストは下がっていくと思われます。すると、膨大なビッグデータをもとにサービスをアップデートさせていくことが可能になります。データがあるからできることが広がっていくんですよ」

 仮に「アルバイトの応募者、就活生や求職者がどんな企業情報を見て応募を決めたのか」のデータを集めれば、企業に対し「いい人材がほしければこの情報を充実させるべき」とコンサルティングができる。また企業の口コミを分析し、ユーザーの指向性も分析していけば「日々の仕事はトップダウンの傾向がある」企業と「創意工夫するより指示に従うほうが得意」なユーザーをマッチングすることもできる。

「データが集まれば、今まで人材紹介会社のベテラン社員の職人技だったものが、システムでできるようになっていくはずです。そのうち、家庭環境や趣味から合っている職場を探せるようになるかもしれませんね。既に当社は企業のクチコミを分析し“就活生と企業の『マッチ度』判定機能”を提供しています。これにより、これまで発見しづらかった相性のいい企業を見つけられるようになるんです」

 買い物、就学・就職先から恋愛まで、ネットの登場とその進化は、人間に膨大な選択肢を与えた。しかし今後は、選択肢を絞った上での“スマートな選択”が重要だ。例えば映像コンテンツを提供する企業がAIを駆使してレコメンデーション(おすすめ機能)を強化したところ、有料コンテンツの売り上げが驚異的な伸びを記録した例もある。

「従来、ビジネスの基本はユーザーの課題を解決することにありました。しかし現代は利便性が高まり、そもそも課題が少ないのです。だから今後は「こんなサービスがあったのか!」という、ゼロをプラスにするタイプの事業が伸びていくはずです。なかでも、ITやデータを駆使し、誰も想像できなかったプラスオンのサービスを創造した企業が伸びていくのではないでしょうか」

これからは「炎上対策課」が必要!?

 最後に、企業の未来を見通すうえでぜひ尋ねてみたい疑問をぶつけてみた。それは、今後、人材を獲得できる企業と獲得できない企業をわけるのは何なのか、ということだ。

 村上はこんな話をする。

「現在は社会課題解決型の企業に人が集まる傾向があります。今後はそれが加速していくでしょう」