減少傾向にある中国の原油輸入量

 需要サイドに目を転じると、世界最大の原油輸入国となった中国の6月の輸入量は日量963万バレルと前月(同947万バレル)とほぼ横ばいだった。日量1064万バレルであった4月の水準を2カ月連続で約100万バレル下回っている。

 中国の第2四半期のGDPは27年ぶりに低い伸びにとどまり、6月の自動車販売台数も前年比10%減と12カ月連続の減少となった。景気減速から国内のディーゼル需要も4月、5月と連続して2桁の減少となり、10年ぶりの低水準である。6月のガソリン需要も1年半ぶりに前年比割れとなった。

 中国は低油価を背景に1月から5月まで日量121万バレル(前年同期は同85万バレル)のペースで政府や民間企業が備蓄を行ってきた(7月9日付OILPRICE)。しかし、今後原油価格が高止まれば、備蓄の需要も減少する。

 中国の上期の原油輸入量は前年比80万バレル増となり、世界需要の伸び(120万バレル弱)の3分の2を占めたが、下期は果たしてどうなるのだろうか。

 世界最大の原油消費国である米国では、6月上旬まで増加トレンドにあった原油在庫が減少に転じたが、製油所への原油投入量は前年割れが続いている。

緊張状態が続くホルムズ海峡

 このように需給面では先行き悪化の材料が増えているが、それを打ち消してきたのが地政学リスクの高まりである。

 ホルムズ海峡周辺では5月から6月にかけて合計6隻の船舶が何者かの攻撃を受けたが、7月に入っても緊張状態が続いている。

 英海兵隊の特殊部隊は7月4日、EUの対シリア制裁違反の容疑で約200万バレルの原油を積載していたイランのタンカーを英領ジブラルダル沖で拿捕した。これに激怒したイランが報復を示唆したことから、6日、イラク南部のバスラ港に向かっていた英BPの石油タンカーが突如Uターンする事態が発生した。