この談話について韓国メディアは、「通米封南(米国と直接対話し、韓国を疎外させる)戦略の復活」と評価した。

 保守系の「朝鮮日報」は、「米朝対話の仲介者であり促進者の役割を果たすという文在寅政府の構想を真っ向から否定した」と評価した。なお、専門家の話として「文大統領が世界の通信会社とのインタビューを通じて韓半島平和構想を明らかにした翌日、北朝鮮実務担当者が大統領の提案を一挙に黙殺した」という説明も付け加えた。

 政権寄りの「ハンギョレ新聞」は、「クォン局長は『外務省米国局長』という肩書きにふさわしくなく、異例的に韓国側に向かって砲門を開いた」「(彼は)米朝交渉過程で韓国側の助けを受けるつもりはなく、現在南北当局レベルの対話はないと主張した。これは4・27板門店宣言後、米朝韓の首脳の『共同作業』として行われてきた朝鮮半島の平和過程の根本的な流れに対する公開的反論である」と懸念を示した。

 同じく政権寄りの「京郷新聞」も「北朝鮮は異例にも米国担当局長名義の談話形式を使って意思表明した。ハノイでの決裂以降、韓国に対する不満を表わすもので、北朝鮮が米国とは対話をしながらも、韓国とは冷ややかな基調を維持するという『通米封南』ではないかという懸念が出ている」と分析した。

 韓国統一部は「(韓国)政府は南北共同宣言をはじめとする南北間合意を支障なく履行していくという立場に変わりはない」と改めて強調しながらも、「北朝鮮は現在、われわれの対話提案に応じず、消極的な基調を維持している」と述べた。

日韓問題から世論の関心を逸らすためのインタビュー

 文在寅大統領の26日のインタビューは、多分に戦略的だったと思われる。大阪G20を控えて、日韓関係悪化が韓国メディアによってクローズアップされている中、世論の関心を改めて北朝鮮問題へ向けようという意図がうかがえたからだ。計16個の質問のうち、13個が北朝鮮問題に集中しており、最も至急な日韓問題については、だった1つの質問にだけ答えたのがその証拠だ。

 しかし、議長国の日本との二国間首脳会談が決まらないままG20首脳会議へと旅立つ文大統領に向けて、北朝鮮は一介の局長の談話をぶつけ、そのメンツを丸つぶしにした。同時に、文政権や韓国メディアが微かながらも希望をかけていた第四次南北首脳会談構想も粉々にぶち壊してしまった。

 今日から始まる大阪G20を舞台に世界の首脳が「外交合戦」を繰り広げる中で、文在寅大統領は、北朝鮮問題に変わる、何らかの「外交的成果」を見出すことができるだろうか。