商用車世界初、自動検知式ドライバー異常時対応システムを搭載した日野「セレガ」2019年モデル(筆者撮影、以下同)

(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)

 高速道路に見立てたテストコースの直線路を走る大型観光バス。車内には筆者を含めてメディア関係者が30人ほど乗車している。すると、運転手が急に身体の調子が悪くなり、大きく姿勢が崩れた。

 運転手はハンドル操作が不能となり、バス全体が車線をはみ出してふらつき始めた。その時、車内天井の赤色灯が付き、乗客に異常事態を知らせた。

 それからすぐ、観光バスは車線内で自動的に軽く減速し始め、さらに強いブレーキがかかり完全に停止。後続車に対してはハザードランプを点灯して緊急事態を知らせた。

運転手の体調に異常が発生した想定で、自動緊急ブレーキがかかる車内の様子

AIでドライバーの異常を検知

 これは、日野自動車が6月14日、同社の羽村工場(東京都羽村市)内で開催した最新安全技術試乗会でのひと幕だ。運転手が急に具合が悪くなったのは、緊急事態を想定した演技である。