(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)
高速道路に見立てたテストコースの直線路を走る大型観光バス。車内には筆者を含めてメディア関係者が30人ほど乗車している。すると、運転手が急に身体の調子が悪くなり、大きく姿勢が崩れた。
運転手はハンドル操作が不能となり、バス全体が車線をはみ出してふらつき始めた。その時、車内天井の赤色灯が付き、乗客に異常事態を知らせた。
それからすぐ、観光バスは車線内で自動的に軽く減速し始め、さらに強いブレーキがかかり完全に停止。後続車に対してはハザードランプを点灯して緊急事態を知らせた。
AIでドライバーの異常を検知
これは、日野自動車が6月14日、同社の羽村工場(東京都羽村市)内で開催した最新安全技術試乗会でのひと幕だ。運転手が急に具合が悪くなったのは、緊急事態を想定した演技である。