400万部の大ヒットを飛ばした『炎と怒り』の著者、マイケル・ウォルフ氏

柳の下にいた2匹目はスリリング

 全世界で400万部以上売れたベストセラー『Fire and Fury』(炎と怒り)の著者、マイケル・ウォルフ氏が6月4日、その第2弾、『Siege:Trump Under Fire』(包囲攻撃:放火を浴びるトランプ)を出版した。

 「柳の下のドジョウ」を狙った新著の題材は、就任2年目のトランプ大統領の周辺で起こったスリリングな出来事。

 『炎と怒り』では、側近中のスティーブ・バノン氏(当時はトランプ選挙対策本部長、のちに首席戦略官兼上級顧問に)が選挙中に大統領の長男ドナルド・ジュニアらがロシア政府関係者と密会していたことをとらえて「国賊だ」と非難したことなどが暴露された。

 またジェームズ・マティス国防長官(当時)が「大統領の理解力は小学校5年生から6年生並み」と発言していたことやジョン・ケリー首席補佐官(同)が「大統領は愚か者」「ホワイトハウスは『狂った街』」と言っていた「事実」も明らかにされた。

 こうした発言が大統領の逆鱗に触れ、その後これら高官たちが解任されたり、辞任する遠因になった。

 新著で注目されるのは、ロバート・モラー特別検察官によるロシア疑惑捜査で窮地に陥っていたトランプ大統領が何を考え、どう行動したか、だ。

 ウォルフ氏は、ホワイトハウス関係消息筋の発言を細かく拾い集め、大統領が以前にも増して精神不安定になり、自らをコントロールできなくなっていた状況を克明に描いている。

 トランプ大統領の精神不安定の原因はモラー特別検察官のロシア疑惑捜査であることは言うまでもない。

モラー特別検察官チームの極秘文書

 ウォルフ氏は、関係筋から特ダネを得ていた。

 モラー特別検察官がトランプ大統領がロシア疑惑捜査を恐れるあまり、司法妨害を行っている可能性大と判断し、訴追するために必要な具体的な法的手続きの準備をしていたという「事実」だ。

 ウォルフ氏は関係筋からそれを立証する文書*1を入手している。

*1=これについてはすでに公表された『モラー特別検察官報告』にも記載されていない。また新著の記載を受けてメディアの取材にモラー特別検察官チームはその存在を完全否定している。

https://www.theguardian.com/us-news/2019/may/28/mueller-trump-obstruction-charge-michael-wolff-book-siege-under-fire-news