ただし、独占を維持するために緊密なドミナント出店が行われるため、独占状態が必ず儲かる状況を生むわけでもない。セブンイレブンの日販は他社と比べて高いとはいえ横ばい傾向にあり、一方で近年は毎年1000店ほども店舗数が増えていた。

 この状況から分かることは、既存店の日販を目安にドミナント出店の可否を決める、つまり日販が高い=出店の余地がある=他社に売り上げを取られるくらいなら自社で取れ、といった判断をしているということだ。
 
 セブンイレブンにとっては当たり前の経営判断だが、オーナーにとってはたまったものではない。コンビニ各社は具体的な距離は明記していないものの、近隣に出店する際には配慮する、といった契約を結んでいるがそれにも反している。

セブンイレブンが嫌われる理由

 コンビニ各社はオーナー希望者向けの説明会で、こうした身も蓋も無いビジネスモデルをハッキリと説明していれば良かった。

「24時間営業とドミナント出店で他社の追い出しに成功すれば儲かる可能性が高まります。しかしそこに至るまでは血みどろの戦いです。何年続くかわかりませんし、勝てるかも分かりません。失敗すれば経営が破たんするかもしれません。それで良かったらオーナーになってください」と。

 こんな説明でオーナーになりたい人はまずいないと思うが、人生をかけた起業・独立を勧める以上は誠実で嘘の無い説明が求められる。

 ドミナント出店についてセブンイレブンはいまだに知名度や配送効率が云々といった説明をしている状況を見ると、このようなビジネスモデルを説明したくないのか、それとも自社のビジネスモデルを経営者ですら理解していないのか、心配になるレベルだ。

 そしてセブンイレブンが嫌われる理由、批判される理由は今回の記事で書いたように、ビジネスモデルが「誠実ではない」からだ。他社を妨害して自社のチェーン同士でも共食いが発生するような手法を誠実とは到底言えない。

 本来ならばフランチャイズ契約は契約自由の原則で、違法でなければ問題なし、あとは当事者同士の話※、ということで終わっていたはずだ。しかし合法と誠実は全く別の話で、セブンイレブンは結果的にこれだけ批判を受け、嫌われている。味方がいないように見えると書いた通り、オーナーに限らず顧客からもだ。

(※ただし、後述するようにオーナーの労働組合結成が一時的とはいえ正式に認められたことで「当事者同士の話」では通用しない可能性が出ている)