仏ノートルダム寺院で大規模火災 尖塔が崩壊

パリの観光名所ノートルダム寺院から立ち上る炎と煙(2019年4月15日撮影)。(c)FRANCOIS GUILLOT / AFP〔AFPBB News

 フランス、パリはシテ島のノートルダム大聖堂から出火しました。

 原因は、修復工事で用いられていた電気ハンダごてからの失火か、などとの情報がいまだ錯綜している状態です。

 いずれにしても人類はかけがえのないものを失いつつあると思います。悔やみ切れません。

 「ゴシック建築を代表する建物」「レーザーで精密計測されたデータがあるから復元は大丈夫」「美術品その他は運び出されて大丈夫」など、素っ頓狂な解説未満も目にし、憤りすら感じます。

 この建物自体が、他にかけがえのない巨大な美術品であり、モニュメントであり、テクノロジーであり、要するに人類の生きた足跡でした。それが今現在燃えている。

 実はノートルダム大聖堂は、いまから4半世紀ほど前、私の学位論文でも重要な意味を持った建物で、その意義には思うところがたくさんあります。

 バラ窓が爆発して焼け落ちたらしいなどとの報を目にしつつ、以下急いで記します。

この建物から始まった(1)
「ゴシック」という嘘、イスラム建築

 まず「ゴシック建築を代表する」という薄っぺらい解説未満、とんでもないことだと思いますのでそこから始めます。

 この建物「から」西欧人が<ゴシック建築>と呼びならわしているスタイルが始まったのであって、代表などという曖昧な表現ではなく、「ゴシックと呼ばれる建築スタイルの原点」であり「それを完成させた」決定的な建築物が今現在も燃えている。

 あまり教養と縁のない、米国大統領のような人間が、「なぜ空中消火を行わないか?」などと阿呆の極みのようなことを言っているようです。

 しかし、西暦1200年を記念して建築されたこの建物がどのような水圧にどう耐えるかなどは全く定かでなく、最悪崩落の可能性があるので滅多な消化方法など取ることができません。

ノートルダム寺院火災 「爆撃のよう」屋根に穴 内部はがれき

火災に見舞われたフランス・パリのノートルダム寺院内部の様子(2019年4月16日撮影)。(c)AFP〔AFPBB News