マリファナの臭いがぷんぷんする所で、この原稿を書いています。びっくりされるかもしれませんが、事実なので仕方ないのです。
仕事で滞在しているオランダのアムステルダムで、大麻の臭いがするのは、日本国内でたばこの副流煙が流れて来るのと、だいたい似たようなものだと思って外れないでしょう。
禁止されていませんから、街で普通に、たばこ同様に人々は「喫煙」しています。
昨日は雨が急に降ってきて困っていたとき、助けてくれた親切な歩行者がありました。 温厚そうな中年男性でしたが、彼もマリファナを咥えていました。
仕事で定期的にアムステルダムに滞在しますが、おかしな煙の充満する場所で体に臭いなどついて、成田空港で麻薬探知犬に懐かしそうな顔をされても困りますので(苦笑)、私自身は喫煙所のたぐいには極力近づかないようにしています。
それでもごく普通に、副流煙状態のマリファナの臭いは街に漂っている。オランダを旅行された方なら、誰でもご存知でしょう。
コカインで起訴された芸能人が保釈されたとの続報もありました。こうした薬物、例えばマリファナが、なぜオランダでは合法で、日本を含む世界各国で禁止されているか、常識の源流探訪から始めてみたいと思います。
ナチュラル・ハイとアシッド
前回の連載にも記しましたが、1980年代半ば、作曲家の武満徹を名義監修に西武セゾン系列から音楽雑誌を創刊して、ジャンルを問わず様々な 当時としては「先端」に触れる時期があり、狭いクラシックの畑から、広い異世界を知ることになりました。
当時の東京は、いまだいくつかの合成麻薬が禁止される前で、そのため海外の「クラブシーン」から人の流入があったように、後知恵ですが、聞き及んでいます。
その当時も耳にしたのは「ナチュラル・ハイ」という言葉でした。
「大麻」のようなナチュラル、つまり自然物は、覚せい剤など化学的に合成されたドラッグ「アシッド」と違って「体にそんなに悪くない」「タバコと変わらない」「タバコより無害で、合法化の議論もある」といった話をちょくちょく耳にしました。
むしろ「体に良い」などという話すらする人がありましたが(苦笑)、私は、父親が転移性肺がんで死んでいますので、一般にこの種の煙を吸う類は原則生理的にダメで、体に良いとはとても思えませんでした。
それでも、オランダ国内の普通の風景として、マリファナはタバコ以上に社会に普及した、ごく当たり前の嗜好品になっている。
どうしてそんなことになったのか?