2018年8月、ジャパンディスプレイの戦略発表会で講演するチーフ・マーケティング・オフィサーの伊藤嘉明氏(写真:つのだよしお/アフロ)

「日の丸液晶」であるジャパンディスプレイ(JDI)は、2019年3月期決算で5期連続赤字が確実という業績不振の結果、台中連合3社から金融支援を受けることとなった。外資が議決権の5割強を握って主導権を取る。これで「日の丸液晶」は完全に頓挫した。

日米台中4カ国の大枠が絡み合うJDIの命運

 つい4カ月ほど前、JDIは千葉・幕張メッセで開催された液晶・有機EL技術展「ファインテック」で、同社が出資するJOLEDと広い共同ブースを開設していた。

ファインテックでのJDIとJOLEDの共同展示ブース(著者撮影)

 まずJDI代表取締役社長兼COOの月﨑義幸氏が基調講演を行った。月﨑氏は、日立製作所に入社し、液晶パネルの設計部門を歩いてきた人物。そのためか基調講演は、主に技術戦略の紹介に終始し、厳しくなっているJDIの経営状況には触れなかった。

JDI代表取締役社長兼COOの月﨑義幸氏が基調講演(著者撮影)

 対照的だったのが、同時に行われた、シャープのディスプレイデバイスカンパニー伴厚志副社長の基調講演だった。伴氏は、シャープのディスプレイ戦略や世界最軽量の有機ELスマホについて雄弁に語った。

参考:「液晶のシャープ」が有機ELスマホで見せた実力 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55108

 一方、展示ブースは、シャープが机1つの大きさだったが、JDIはJOLEDと共同でかなり広いスペースを確保していた。厳しい経営状況を反映した必死のアピールだったのだろうか。

 このJDIを取り巻く産業革新機構、台中連合、米アップルが絡み合う「組織間関係」を、これから述べていく。分かりやすいように初めに「相関図」を図示しておこう。

【図1】JDIを取り巻く産業革新機構、台中連合、アップル等の「組織間関係」(著者作成)
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