相続トラブルはなぜ増え続けているのか?(写真はイメージ)

「どんな家でも相続争いは必ず発生します」──。こう断言するのは、相続に悩む家族と税理士のマッチングサービスを提供するビスカスの代表取締役、八木美代子氏だ。今や相続トラブルは一部の富裕層だけのものではなくなった。相続トラブルの本質は何なのか、どうすれば避けられるのか。相続コーディネーターの八木氏が解説する。(JBpress)

(※)本稿は『相続は、「感情のもつれ」を解決すればお金の問題もうまくいく』(八木美代子著、サンマーク出版)の一部を抜粋・再編集したものです。

99.9%の相続が「争続」になる

 みなさんは、「相続」=「争続(あらそいぞく)」と呼ばれるほど、遺産分割の際のトラブルが多いのをご存じでしょうか。

 小説やテレビドラマなどで、相続に絡んだ事件がよく登場しますので、イメージとしては十分に理解できるかと思います。しかし、自分がその当事者になると本当に意識している人は、ほとんどいないのではないかと思います。

 相続によるいざこざで、家庭裁判所に持ち込まれる相談の件数は、年々増加しています。最高裁判所の「司法統計年報」によると相談件数はこの約30年の間に4倍に膨れ上がりました。

 2015年から適用された税制改正によって相続税の「基礎控除」額が引き下げられたことが1つの原因ですが、それだけではありません。家族形態や時代の変化によって家族の気持ちのすれ違いが大きくなっていることも大きな要因となっています。

「うちみたいに仲いい家族が、相続争いなんてあり得ない」

「争うほどの財産もないから大丈夫」