今回の会談では、これまで経験したことがないほどの屈辱を味わわされたものと思う。

 金正恩委員長は、北朝鮮金一族の後継者として大事に育てられてきたから、これまで屈辱というものを受けたことがないのではないだろうか。

 金正恩委員長は大きな恥をかかされたわけだから、今回米国の手の内を読み取れなかった者たちへの粛清は免れないだろう。

 金正恩政権内部では、北朝鮮への経済制裁が継続されるという前提で、今後の対米戦略を大転換するほどの見直しをしているに違いない。

 短期的な対米戦略としては、以下の3つのいずれかであろう。

①引き続き友好的な戦略を進めるのか

②再び2017年と同じような恫喝する瀬戸際戦略に逆戻りするのか

③2つの中間として友好的だが恫喝の兆候だけ見せる戦略を取るのか

 対韓戦略としては、米国の動きを無視して友好関係を加速させる、南北関係を悪化させて韓国を動揺させる、ことなどが考えられる。

 長期的に見ると、もしも交渉が進展しなければ、再び過激な挑発に進む可能性が高いとみるべきであろう。

 予想を超える事態が起こる予感もしないわけではない。