かつて北朝鮮は、ウラン濃縮の兆候を数多く指摘されても「やっていない」と主張してきた。

 だが、隠し通すことが不可能になり、あるいは主張した方が国益に繋がると判断した場合には、「うそ」を撤回して「事実」を表明してきたという経緯がある。

 米国はウランの濃縮問題について、北朝鮮に隠され騙されてきた。今回も同じことが繰り返されれば、トランプ大統領は「能なし大統領」と呼ばれることになる。

 トランプ氏はこれだけは避けたいところだ。

4.金正恩委員長の失望と今後の予測

 北朝鮮メディアは会談直前、北朝鮮人民が経済再建を待ち望む大きな期待を報じたのだが、結果は予想に反して得るものは何もなかった。

 会談後、ベトナム公式訪問の映像を見ると、金正恩委員長の魂が抜けたような、ぼーっとした無表情の写真が散見された。

 このような写真が出たのは、父の金正日総書記の葬儀の時以来で、金正恩委員長が北朝鮮のトップに就いてからは初めてではないだろうか。

 金正恩委員長にとってはそれほどの衝撃だったと見ていい。

 金正恩委員長は、ベトナムから帰りの特別列車に戻ってから、怒り狂っていたかもしれない。