窒化ガリウム(GaN)が用いられる青色発光ダイオード 日本発の青色LEDの登場により、白色LEDが作れるようになり照明の世界に革命をもたらした。(出所:名古屋大学ウエブサイト)

 青色発光ダイオード(青色LED)は日本発の発明として名高い。青色LEDのおかげで、LEDで光の三原色すべてを作れるようになり、白色のLEDが実現した。

 白色LEDはこれまでの蛍光管に代わり、省エネで長寿命の照明として普及し、照明の世界を一変させた。

 青色LEDには窒化ガリウム(GaN)という半導体物質が用いられている。

 GaNは半導体物質として、シリコンよりも優秀であり、GaNで半導体素子を製造すればシリコン以上のパフォーマンスが期待できる。

 GaNを用いた素子は高速で動作可能であることが買われ、電波用の半導体素子として、携帯電話の基地局や人工衛星に用いられてきた。また、軍用のレーダーにも用いられている。

 このGaNをパワー半導体として用いることで、電力制御の省エネが実現可能であると言われてきた。しかし、価格が高かったので、携帯の基地局のような用途では使用できても、一般に普及させることはハードルが高かった。

昨年12月から販売されているGaNを使用した超軽量充電器。こうした商品が出始めたのは、GaN普及の兆候かもしれない。(アマゾン・ドット・コムのサイトから)

 ところが、2018年12月にアマゾン・ドット・コムでGaNを用いた超軽量充電器が販売され始めた。

 電力制御では、前回の記事で紹介したとおり炭化ケイ素(SiC)のパワー半導体の普及が始まり、鉄道車両などでシリコンとは別次元の省エネの実績を上げつつある。

 GaNの携帯充電器の販売開始は、SiCが開きつつあった新たな段階の省エネにGaNが加わり、SiCを超えるパフォーマンスで更なる革命的効率化をもたらす兆候かもしれない。