ロシアが開発していた新型旅客機「MC-21」が制裁の影響で製造不能に陥っている。
MC-21の製造に参加していた企業が制裁リストに載り、米国製の素材が入手できなくなったからだ。
ロシアはこれまで、MC-21が軍事と関係ない旅客機であるとして制裁対象から外してもらうよう求めていた。ロシアの航空業界でも、対外的には制裁の影響は小さいというのが基本スタンスだった。
しかし、2019年に入り、いよいよどうにもならなくなり、ロシアの航空産業は慌ただしくなってきた。
MC-21はロシア航空産業で主力を担う予定の機種である。制裁によって製造不能になれば、米国によってロシアの航空産業が潰されたと表現しても決して大げさではない。
新型旅客機が受けた制裁
「MC-21」は日本の三菱飛行機が製造する「MRJ」よりも一回り大きく、ボーイング「737」やエアバス「A320」と同規模の旅客機である。
このサイズの旅客機は年間1000機以上生産され、旅客機の中では最も売れ筋である。
ロシアの旅客機と聞くと、遅れていると想像されるかもしれないが、MC-21は新製法の複合材主翼を持ち、ライバル機よりも先進的である。
また、胴体が広く快適であることや価格の安さを売り物にしている。
新製法の複合材主翼は、業界では国際的に評価された。ロシアの航空産業が可能な限りの新技術を盛り込み、最も売れる市場で勝負をする機体である。
ロシアの航空産業復活を懸けた旅客機として、期待されていた。