「民主主義は大衆が選んだ指導者によって死ぬ」
米国のバラク・オバマ前大統領が2018年の1年間に読んだ本として挙げている29冊の中に『How Democracies Die』(民主主義はいかにして死すか)がある。
ハーバード大学のスティーブン・レビツキーとダニエル・ジブラット両教授が著した本で、2019年1月にはペーパーバック版も出た。
著者たちはズバリこう言い切っている。
「民主主義は将軍たちの手によって死ぬのではなく、大衆が選んだ指導者たちの手によって死ぬ」
大衆によって選ばれた指導者は権威的な独裁者になり得る。その要因は4つある。
1つ目は、独裁者は民主的な制度・法令・慣例を拒絶し、却下する。
2つ目は、独裁者は政敵、反対者の合法性を否定する。
3つ目は、独裁者は特定の暴力を大目に見たり、けしかけたりする。
4つ目は、市民的自由(思想・言論・集会の自由)を削ごうとする。
著者たちは現代社会の政治にこの4つのカテゴリーを当てはめてこう指摘する。