中国人スパイを捕まえても「氷山の一角」でしかない
米中対決は、貿易面での関税合戦から知的財産権が絡む先端技術の攻防にまで広がりを見せている。
米司法省は12月20日、中国ハイテク企業「天津華興海台技術開発」が米海軍、米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所などにハッカー攻撃を仕かけ、最新先端技術データを窃盗していたと発表した。
米連邦捜査局(FBI)は関係する中国人2人を逮捕した。同企業は米国だけでなく日英独など米国の同盟国の政府関連機関にもハッカー攻撃を行っていたという。
米司法省は、目下カナダで拘留中の通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)の事実上の最高責任者、孟暁舟副会長の身柄引き渡しをカナダ当局に強く求めている。
華為技術はZTE(中興通訊)とともに機器を米国に売り込むことで中国政府の手足となってハッカー攻撃の「実働部隊」だと米国は見ている。
「中国が目指すのは人工知能(AI)をはじめとする超先端技術の分野で米国に追いつき追い越し、世界のトップの座に就くこと」
「そのためには非合法な方法ででも可能な限り先端技術関連データを入手しようとしている。中国によるハッカー攻撃はその攻撃性ではロシアや北朝鮮よりも上だ。今回逮捕したスパイは氷山の一角に過ぎない」(クリストファー・レイFBI長官)
もっとも、こうした米国のがむしゃらな「スパイ掃討作戦」には政治的な思惑が見え隠れしている。
背景に「米国は世界のAIのリーダーだ」という驕りがある。