ロシアのウラジーミル・プーチン大統領による年末恒例の大記者会見が2018年12月20日に行われた。
国内外のジャーナリストを集めて1年に1度開催する「ボリショイ記者会見」として知られる大規模記者会見も14回目を迎えた。今回プーチン大統領は3時間43分をかけて、70近くに上る数の質問に答えた。
プーチン氏は、この「ボリショイ記者会見」とは別に、ロシア国民からの質問に長時間にわたって直接対話形式で答える「ダイレクト・ライン」と呼ばれるイベントも年1回行っている。
(これについては筆者の6月のコラムを参考にしていただきたい「黒からグレー、そして白へ向かう縞模様のロシア経済」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53371)
今回、大統領の発言そのものについては全般的に強気な展望を示した内容が目立ったが、大統領の口調ないしトーンについては、総じて高揚感が比較的抑制気味であった。
その背景を解明するヒントとなり得るプーチン氏の発言を、以下の2つのテーマに絞って注目してみたい。
対ロ経済制裁とルソフォビア(ロシア嫌い)
ウクライナ危機を契機に2014年から欧米諸国によって科されている経済制裁の効果については様々な議論がなされている。
今回の会見ではプーチン氏自身も、制裁がもつ負の面を認識しつつも、国内での生産拡大など制裁によってもたらされたポジティブな側面について、欧米の専門家からもそのような指摘があるとしながら強調した。
制裁解除の兆しが薄いなか、今回記者会見でみえてきたのは、プーチン政権が抱く制裁状態継続に対する覚悟というか諦め感のようなものが滲んでいる様子である。
背景にあるのは、プーチン氏の言う欧米諸国の「ルソフォビア(ロシア嫌い)」であろう。