写真:JFA/アフロ

アジアの頂点奪回を命題に日本代表はサウジアラビア代表との決勝トーナメント1回戦に勝利。ベスト8ではベトナム代表と激突することとなった。とはいえ、苦しい試合の連続には、賛否が渦巻く。

振り返れば順調に見えた森保ジャパン。初めての公式戦で見せる現在の姿をどう捉えるべきか。そして森保一はここまでどんなマネジメントを行ってきたのか――。スポーツジャーナリストの飯尾篤史氏が現地で見たリアルな姿を描く。

森保監督も予想していた苦戦

 トルクメニスタンとの初戦前日、「グループステージでは常に相手を圧倒するような内容と結果を出していかないといけない。その自信はある」と力強く語った原口元気がオマーンとの2戦目を終えたあと、「簡単じゃないというのは分かっている。本当に粘り強く、臨機応変にやれるかだと思う」と自身に言い聞かせるように語った。

 大会に向けて、「何かを成し遂げたい。チームを引っ張りたい」と意気込んでいた南野拓実はラウンド16のサウジアラビア戦のあと、「次、頑張ります」とのひと言だけを残し、ミックスゾーンを立ち去った。

 UAEで開催されているアジアカップ。5度目の優勝を目指す日本代表は、苦戦を重ねながら、ベスト8にたどり着いた。

 30℃を超える猛暑のなかで行なわれたトルクメニスタン戦は先制点を許す大失態を犯して、なんとか3対2と勝利。続くオマーン戦ではレフェリングに助けられ、1対0と辛勝した。2対1と勝利したウズベキスタン戦でも再び先制点を献上し、サウジアラビア戦は防戦一方の展開で、辛うじて1対0と逃げ切った。

 もっとも、そうした苦戦は、森保一監督もある程度、織り込み済みだったことだろう。グループステージでは選手たちのコンディションが万全ではなかったからだ。

 12月上旬にシーズンを終えている国内組の選手たちと、直前まで公式戦を行なっていた欧州組の選手たち。欧州組のなかでも年末に帰国して国内合宿に参加した者もいれば、年明けにUAEで合流した者もいた。

「コンディションのバラツキを合わせていく作業が一番難しいだろうなと思っていました」と森保監督はグループステージ終了後に語っている。