がん生存率、世界で上昇するも国別で格差 国際共同研究

腎臓がん患者の治療を行う放射線科医ら(2017年11月7日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / ANNE-CHRISTINE POUJOULAT 〔AFPBB News

 高齢化が進むわが国でがん対策は重大な課題だ。

 政府も、この問題に真剣に取り組んでいる。2006年にはがん対策基本法を成立させた。この法律の肝の一つはがん検診の推進だ。

 がん対策基本法成立以降、がん検診の受診率は鰻登りだ。肺がん検診の場合、2007年に男性27%、女性23%だったのが、2016年には51%、42%となった。

 ところで、がん検診の診断精度に問題があることは、みなさん、ご存じだろうか。

 最近、この問題を痛感する経験をした。それは、肺がん検診での見落とし事件を受けて、社会医療法人河北医療財団が設置した第三者委員会(委員長佐野忠克弁護士)の委員を引き受けたからだ。

 昨年12月13日、厚労省記者クラブで開かれた記者会見を、多くのメディアが報じたため、ご存じの方も多いだろう。

 まずは、事件の概要をご説明しよう。きっかけは、昨年6月に肺がんで亡くなった40代の女性患者の遺族が、河北医療財団を訴えたことに始まる。

 この女性は同財団が経営する河北健診クリニックで、2005年から15年の間に10回健診を受けていた。うち1回は杉並区が杉並区医師会を介して、河北健診クリニックに委託した肺がん検診だった。

 訴訟が提起されると、河北医療財団は、過去の診療記録を見直した。そして、自らが見落としていたことを認めた。

 同財団が第三者委員会に提出した資料によれば、2014年7月、2015年7月の健診、2018年1月の肺がん検診で異常陰影を見落としていたことを認めた。