その理由は「住宅」にあった。
黄浦区で「銀杏家園」というマンションの3LDKの中古物件が売られている。下の写真は、2016年2月末に筆者が撮影した広告である。当時上海市民は、500万元、600万元とどんどん吊り上がる住宅価格に目を白黒させていた。その事例として写真を撮ったのだ。銀杏家園の部屋は515万元と660万元で売られていた。
その後、約1年半でこの住宅の値段は倍近くに値上がりした。
2001年に第1期が竣工した銀杏家園は、築年数による経年劣化は否めず、また南北に走る高架道路に近接していることから、必ずしも好立地とはいえない。それでも現在の価格は1150万元(約1億8700万円、1元=約16.3円)もする。ネットで検索すると、同じ住宅を1300万元で売り出している不動産会社もあった。日本円にすれば「2億円超」だ。
今や上海市内では2000万元越えの高額中古物件も珍しくなくなった。だが、問題は「買い手がついてこられるのか?」ということだ。
上海市内に在住するある富裕層の女性は、「上海の中古不動産市場は、2017年以降まったく動かなくなった」と明かす。彼女は投資用に買ったマンションを売りに出している最中だが、買い手は現れない。「たまに内覧希望者はいるのですが、商談には至りません。ずっと空き家のまま結局1年が過ぎました」(同)と苦笑する。