ソウル地下鉄は値上げ求める

 ソウル交通公社の場合、初乗り料金を現行の1250ウォンから200ウォン値上げすることを求めている。

 ソウルの地下鉄初乗り料金は、2012年に850ウォンから1050ウォンに、2015年に1250ウォンにそれぞれ上昇した。

 小刻みな値上げが続く可能性が高いが、それでも赤字構造の解消は程遠い。

 高齢者の地下鉄無料制度については、改正を求める声が少なくない。地下鉄など政府や自治体が運営する地下鉄の経営が悪化すれば、結局税金で補填することになる。

 先行き黒字化が見えない中で、いつまで全面無料化を続けるのか。65歳という年齢の区切りが高齢社会の実情に合わないという指摘も多い。

 高齢者に対する地下鉄料金半額割引制度が始まったのは1980年。この年の65歳以上の比率は3.8%に過ぎなかった。

 40年近くの間に急速に高齢化が進み、「元気で健康な高齢者」も増えたにもかかわらず、制度が変わらないことへの疑問の声も多い。

 韓国ならではの「世代間対立」も微妙に影響する。ある韓国紙デスクはこう話す。

 「若者の失業率が過去最悪の水準で続いている。若者の間に『高齢者』は早く引退してほしいという雰囲気が強まっている」

 「それだけでない。年金や保健などの負担を考え、『高齢者を大切にしましょう』という風潮は過去のものになりつつある。地下鉄の無料乗車についても、何でそんな必要があるのかとの声が少なくない」