“アニメや漫画を重視する日本の若い世代は、藤井実彦氏の(上記の慰安婦漫画の件について)騒ぎを起こす行為をまっとうなものであるとは見ておらず、彼が無理にトラブルを起こしていると見なしている。今回、藤井氏が台南の慰安婦像を蹴るポーズを見せた事件を含めて、ツイッター上では批判一色となっており、ついでに彼の「幸福実現党」の身分まで掘り出されることになった”
“もともと「幸福実現党」とは、1984年に成立した現代宗教の「幸福の科学」をルーツとしており、教義の内容は特に厭世的だったり終末論的だったりはしないが、守護霊とコミュニケーションしてつながることができると言っており、多くの日本人からはオウム真理教の後を継ぐカルト宗教組織であると見られている。多くの人は敬してこれを遠ざけ、彼らと関わり合いになりたいと思っていない”
ほか、香港の伝統的な中国語紙『大公報』のWEB版も、9月12日付けで「藤井実彦を徹底解明、カルト宗教メンバーと見られていた」と題する記事を発表。やはり幸福実現党や幸福の科学について言及し、「日本右翼分子藤井実彦」が所属する「邪教(=カルト宗教)」であると断じている。
統一地方選を前にした政権叩きの材料に
台湾において、慰安婦問題は与野党を問わず国民的な問題だが、対日歴史問題の追及に熱心な野党・中国国民党など藍色陣営のほうが、高い関心を持っているのも確かである。藍色陣営は、これまでも「親日」「媚日」をキーワードに蔡英文政権を攻撃することが多かった(もっとも、国民党の馬英九前総統も、実は経済や民間交流の面では相当に「親日」的だったのだが)。
そのため、今回の慰安婦像蹴り事件は、今年11月の統一地方選での巻き返しを狙う藍色陣営に政権攻撃の材料を与え、また地方選候補者たちが知名度アップを図るための格好のアピール材料になっている。
例えば、像蹴り事件の直前に藤井氏から抗議文を手渡された国民党所属の台南市議・謝龍介議員は、日台交流協会への抗議デモの主催や、事実上の台湾駐日大使である謝長廷氏に向けて安倍総理への公式な抗議声明の発表を求めるなど、問題の「当事者」であることを世間一般に知ってもらおうと、非常に華々しい動きを見せている。