ベトナム・ハイフォン港のコンテナターミナル(資料写真、出所:Wikipedia

 シンガポール、マレーシア、スリランカ、ミャンマー、カンボジア、パキスタン、タンザニア、ジブチ、エジプト、イスラエル、ギリシャ、イタリア、ベルギー、オランダ、ロシア──。

 これらのすべての国の港に中国の影が忍び寄っている。

 港湾の建設や運営を行っているのは招商局集団や中国遠洋海運集団(COSCO)といった中国の国営企業で、「グローバル・ターミナル・オペレーター」と呼ばれる。こうした企業による活発な港湾開発は徐々に成果を生み出している。

 2011年、招商局集団はスリランカのコロンボ南港のコンテナ埠頭建設プロジェクトを落札した。招商局集団が建設費の85%にあたる5億元を出資し、設計、建設、運営、管理までを掌握した。2012年に418万TEUだったコンテナの取扱個数は、2016年には573万TEUと37%の伸びを見せている。

 ギリシャのピレウス港も、やはり中国の息がかかっている。COSCOは2008年に同港のコンテナ埠頭(2号と3号)で35年間の運営権を取得し、2010年から運営に乗り出した。2012年に273万TEUだったコンテナの取扱個数は、2016年に373万TEUまで増えた。2012年比で、やはり37%の伸び率である(数字は国際港湾協会)。

 新興国は、軒並みコンテナ港湾の整備を急いでいる。2015年から2030年までの世界の港湾インフラ需要は年間4.3兆円が見込まれるという(日本の国土交通省)。そこに中国が多額の資金をつぎ込み、各国の港を着々と“手中に収めている”状況だ。