2014年9月に始まってから早4年。地方創生は果たしてうまくいっているのだろうか?
「東京一極集中を解消し、地方の人口減少に歯止めをかけるとともに、国全体の活力を上げようとする安倍政権の政策」(朝日新聞)と定義づけられているが、人口減少に歯止めがかかっている道府県はほぼない。
創生の柱とされるインバウンド(訪日外国人誘客)で成果を収めている観光地の人口減少幅はいっそう大きくなるばかり。
また、各道府県で強力に推進している「移住」促進政策。最も期待されるのは「起業家」が移住してくることであり、彼らの力で地元に新たな収入源や雇用を創出したい意向だ。しかし、起業家として成功できる素養を持った人材の数は限られる。それを46道府県で奪い合うのだから、結局どこも必要数を確保できず、この政策も行き詰らざるを得ない。
1次産品のブランド化と輸出の振興も、部分的な成果に留まっているところがほとんどだ。
さらに、各道府県が力を入れている「6次産業化」。1次産品を加工して付加価値率を高め、大都市圏で販売して“外貨”を稼ぐ政策である。しかし、本稿の舞台となる高知県においても、6次産業化事例の大半が県内の「農産物直売所」であり、本来の狙いである県外マーケットとは結びついていない。
もはや袋小路に入りかけた感のある地方創生。ところが、今、ある姉妹の手によって一筋の光明がもたらされようとしている。人気観光地「谷根千」にも程近い東京・西日暮里の開成中学・高校裏に、この7月「こうち食堂 日日是好日(にちにちこれこうじつ)」をオープンした小松遥香(はるか)さん(31)・佳矢(かや)さん(29)姉妹だ。