「死せる孔明、生ける仲達を走らす」という故事がある。優れた軍師であった諸葛孔明は死してなお、敵将の司馬仲達に“計略では?”との疑心暗鬼を誘って撤退させ、自国の蜀に利をもたらしたという。
現代のビジネスシーンに置き換えると、軍師は「コンサルタント」であろう。だが、前述の三国時代でもそうであったように、いつの時代も優れた軍略家は希少である。もし凡庸な軍師を重用してしまうと、死して味方の将を混乱へと突き落とす結果にもなりかねない。その先に待っているのは国の崩壊、会社でいえば倒産である。
平成29年の中小企業庁の発表によると、当該事業者は直近の5年間で約40万社減少しているという。経営に迷いを覚えたとき、経営者の孤独に耐えきれなくなり、コンサルに意見を聞きたくなるときもあるだろう。だが、相談する相手を選ばないと、前述したように倒産に追い込まれかねない。ということで今回は、コンサルの良し悪しについて2冊の本を参照しつつ、考えてみたい。
大泉敏郎 『私、B級観光地プロデューサーです!』
自分の住んでいる地域が、赤字財政にあえいでいると仮定してみて欲しい。議論を尽くした結果、やはり短期的にはいわゆる「外貨」を稼ぐことが一番であろうとの結論に至った。つまりは「観光」によって、他地域からお金を落として帰ってもらおうというわけである。
そこで、あなたが責任者になったつもりで、観光客を招く施策を考えてみて欲しい。観光客を誘致したい場合に、何を売りにできるだろう。はたして、あなたの居住地の近辺には、どんな魅力があるだろうか。
たとえば「名水100選に選ばれるほどおいしい水」が存在するとしたら、手始めに、その事実を観光客にアピールしようとするかもしれない。