6月29日にIHIより防衛装備庁に「XF9-1」という戦闘機用エンジンが納入された。
XF9-1は試作エンジンであるとはいえ、推力は15トンを超える。米国の「F-15」やロシアの「Su-35」といった世界の一線で活躍する戦闘機のエンジンと同等以上の出力を持つ。
これまで、日本は一流の戦闘機用エンジンを自力で開発できなかった。
FSX問題で日本が強く出ることができなかった要因の一つが、自力ではどうしてもエンジンを開発できる目処が立たず、米国に頼らざるを得なかったことであった。
戦後70年以上できなかったことが、ようやくできた。日本の航空産業史上、画期的なことである。
XF9-1の性能を見て、感慨深い思いに浸っている航空関係者は多いのではと思う。日本のジェットエンジンもよくここまできたと――。
図2 戦闘機用ジェットエンジンの出力比較(アフターバーナー使用時)
実は、日本のジェットエンジン業界は、日本独自のものも含め、優れた技術を多く持ち、世界のジェットエンジンの性能向上に貢献してきた。
エアフォースウンなどのごく一部の例外を除けば、日本の技術の入ったジェットエンジンを積まない旅客機は現在、空を飛ばないまでになった。
その現状を振り返りつつ、XF9-1の意義を考えてみたい。