筆者は6月下旬にモスクワに滞在する機会を得た。となればロシアで開催されるFIFAワールドカップを見逃す手はない。
もっとも筆者は熱心なサッカーファンではない。自分でプレーするのは好きだが、特に応援は嫌いである。今回はワールドカップを通して見えるロシアの変化をお伝えしたい。
振り返れば、今回のロシア・ワールドカップは開催地決定にかかる贈収賄疑惑、クリミア併合とその後の国際関係の緊張、ロシア五輪選手団のドーピング摘発、ドナルド・トランプ米大統領のロシアスキャンダル・・・。
さらに直前には英国における元スパイ暗殺未遂疑惑等々と、まあこれだけ多くの深刻な問題を乗り越えて開催に漕ぎ着けたことに改めて驚きを禁じ得ない。
それでも6月16日、モスクワのルジニキ・スタジアムにおけるロシア対サウジアラビア戦で熱戦の火蓋が切られた。
1 スタジアムにて
筆者は今回2つの試合を観戦することができた。1つは6月24日にエカテリンブルグで開催された日本対セネガル戦である。
エカテリンブルグは今回開催地の中ではモスクワから1600キロ離れたもっとも遠い開催地であるが、飛行機で2時間あまり、週末を利用して訪問することができた。
また、モスクワではメインスタジアムのルジニキ・スタジアムで6月26日に開催されたフランスvsデンマーク戦を観戦した。
試合開始が午後の遅い時間なので、ミーティングを早めに切り上げて市内オフィス街から30分で駆けつけることが可能である。
さて、試合展開はさておき、スタジアムで一番気になったのは「日本のプレゼンス」が皆無であることである。
プレゼンスと言っても、それはサムライ日本代表チームでも日本のサポーターについてではない。スポンサーについてである。