この話で例えられているのは、お米は食料であり経済力、釜は国庫の状態。

 終戦後、日本から独立した韓国は世界の最貧国だった。初代の李承晩大統領は米国に依存し、米国の援助で経済を発展させようとした。

 しかし、権力に目がくらみ国民をないがしろにして長期的な権力維持に励んだため、4.19革命により国外追放され、ハワイで最期を迎えた。

 2人目の尹潽善(ユン・ボソン)大統領は、李承晩大統領が追放された後に大統領になったが、党内で新派と旧派に分かれてもめている間に5.16クーデターによりのし上がってきた朴正煕に大統領の地位を奪われた。

 軍事クーデターにより大統領になった朴正煕は、日韓国交正常化により援助を得て、高度経済成長を成し遂げる。

 だが、彼は長期間政権を維持したものの、やはり権力の虜になってしまい部下に暗殺されてしまう。「漢江の奇跡」はこの時代に生まれた用語。

 朴大統領の急死により、たまたま国務総理から大統領になった崔圭夏大統領。しかし、新軍部勢力の全斗煥によって8か月で権力を奪われた。

 1980年代を迎え最貧国から脱し、漢江の奇跡を成し遂げた韓国は、86年アジア大会、88年ソウル五輪と世界に名を知らしめる国際的なスポーツイベントを開催するに至る。

 全斗煥大統領は、韓国人の間で高まり始めた政治的な不満を、スポーツイベントなどを利用して気をそらすことに専念した。

 全大統領は、学生デモを抑圧し、光州事件という悲惨な事件を起こしたが、それでも高度経済成長のおかげでおこぼれを頂戴した輩が多いせいか、この時代を懐かしむ年配の人たちも多い。