韓国の元大統領がまた検察の「フォトライン」の前に立った。2018年3月14日午前9時23分。李明博(イ・ミョンパク=1941年生)元大統領が贈収賄などの容疑で捜査を受けるためにソウル中央地検に出頭した。
韓国メディアは600人の記者団が待ち受けたと報じた。入り口前の地面に書かれたラインの前で立ち止まると、「今日は暗澹たる心情でここに立っています(中略)国民の皆さんにはご心配をかけて申し訳なく思います」などと話した。
「フォトライン」
韓国では、世の中の注目を集めた事件の容疑者などが検察に出頭する際、記者団が地面に貼り付けた「フォトライン」と書かれたテープの前に立ってカメラのフラッシュを浴び、ひと言、話すことが慣習になっている。
李明博元大統領もこの「しきたり」にそってこの日、入り口で立ち止まってから検察庁舎に入って行った。
1992年からの「慣習」
「フォトライン」はいつからできたのか。韓国メディアによると、きっかけは1992年末の大統領選挙後だった。
この選挙で、金泳三(キム・ヨンサム)氏が、金大中(キム・デジュン)氏と現代財閥の創業者である鄭周永(チョン・ジュヨン)氏などを破って当選した。
選挙直後、鄭周永氏が選挙違反などの容疑で検察に召喚された。大勢の記者たちが鄭周永氏からコメントを取ろうと殺到した。
押し合いへし合いとなり、カメラがおでこにあたって鄭周永氏が出血してしまった。
この一件以降、取材陣が検察当局と協議して、入り口に線を引き、出頭者はここで立ち止まることが慣習になった。