「個別化人事」の実現をサポートするHRテクノロジー

 HRテクノロジーは、長年人事部が手をつけられなかった人事の「個別化」に対して、解をもたらそうとしている

 日本企業でまず取り組むべきなのは、仕事へのアサインメントを科学することだ。たとえば、ある先進企業では、仕事内容と本人のモチベーション、そして実際のパフォーマンスを分析することで、最適なアサインメントの実現を目指している。

 もちろん、HRテクノロジーの活用先はアサインメントだけにとどまらない。人事領域でデータとして蓄積・分析可能な情報は、すでに数多くある。評価履歴、給与水準、勤怠実績、適性検査・個人面談の結果などだ。

 これに加え、近年では、ウエアラブル端末を用いてのバイタルデータや行動・コミュニケーションデータの収集・蓄積も可能になっている。

 たとえば、バイタルデータや行動・コミュニケーションデータを分析すれば、本人が適度な緊張感で集中できる仕事環境を構築することが可能になる。また、適性検査・個人面談の結果と評価履歴を組み合わせて分析すれば、各人の仕事へのモチベーションに合わせた評価・処遇を実現したりすることができるようになる。

 こうした人事の個別化は、時として人事の複雑化を伴う。ただし、多様な個がありのままでいられるということは、各人の才能を最大限生かせるということでもある。イノベーションの重要性が叫ばれる今日だからこそ、HRテクノロジーの力を借りて、人事の個別化に挑戦すべきだと思う。

*1:グローバル・ヒューマン・キャピタル・トレンド 2016 および 2017
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/human-capital/articles/hcm/global-hc-trends-2016.html
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/human-capital/articles/hcm/global-hc-trends-2017.html