中国政界の人事予想は外れることが多い。しかし、3月の「両会」、すなわち全国政協と全人代で選出される指導者人事は昨年(2017年)11月の党大会で事実上決定されているから、予想外の人事はありえない。政治局常務委員会の序列に従えば、習近平総書記の国家主席、李克強の国務院総理、栗戦書の全人代常務委員長、汪洋の全国政協主席、そして韓正の常務副総理がその“定石”となる。
そうした国家機関の人事の大枠を決める党19期第2回全体会議(2中全会)が、1月18~19日に開催された。
2中全会では、人事以外に憲法の修正も議題とされ、第19回党大会で改正された党規約に盛り込まれた「習近平の新時代における中国的特色ある社会主義思想」が憲法にも書き込まれることが決まった。巷間取り沙汰された「国家主席の任期を2期10年に限る」という憲法条項の改廃は見送られたようである。この条項を変更するのは、次の第20回党大会が開かれる2022年に、習近平が党総書記に3選されてからでも遅くはないからだろう。
国際的名声がある王岐山
さて、従来は「両会」で決まる人事には、さほど注目は集まらなかった。今回も、すでに述べたように国務院総理、全人代常務委員長、全国政協主席、常務副総理は確定済みであって、大勢に影響するような人事案件は見当たらない。しかし、従来とやや事情が異なるのは、「国家副主席」と「国務院副総理」の人事が注目されていることだ。