10月18日から24日までの1週間の会期で中国共産党第19回全国代表大会(以下、党大会)が開催された。これを受けて10月25日には、党第19期第1回中央委員会全体会議(1中全会)が開催され、第2期習近平政権の指導部が決定した。
仔細な評価は後述するが、習近平が党大会で実現を目指した目標は一定の成果を見たといえる。つまり、より「権威」を増した習近平政権が出来上がったことは事実だろう。
しかし、習近平「一強」に見える体制にもいくつかのクエスチョンマークが付く。その点に注目して論を進めたい。
党規約に習近平の「思想」は入ったが・・・
まず党規約を改正し、党の指導理念として新たに「習近平思想」を書き入れるという目標は、とりあえず成功した。しかし、それは「習近平思想」という簡潔な言葉ではなく、「習近平の新時代における中国の特色ある社会主義思想(習近平新時代中国特色社会主義思想)」と記された。記述の序列も、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論、(江沢民による)“3つの代表”重要思想、(胡錦濤による)科学発展観、の後ろであった。
たしかに、指導者の名前を冠した表現ということで言えば、江沢民、胡錦濤は名前の言及がないから、習近平は毛沢東、鄧小平と肩を並べたと言えないこともない。しかし、順番の時系列が覆されなかったことと、「思想」を限定するだけでなく、それだけでは意味不明な「新時代・・・」という語句が入ったことによって、指導理念としての簡潔さが損なわれた印象がある。