医薬品で13人失明?ドイツ製薬会社が責任を否定

仏ランスにある病院の眼科で目の検査を受ける女性(2013年9月20日撮影、資料写真)。(c)AFP/PHILIPPE HUGUEN〔AFPBB News

 「日常の診療では得られない大規模なデータをわずか半年で得られたことは画期的です。しかも患者の割合が少ない男性のデータが多く得られました」

 こう話すのは、ドライアイの基礎研究と臨床研究をする順天堂大学医学部附属順天堂医院の眼科医、猪俣武範さん(36歳)だ。

 ドライアイの患者数は年々増加の一途を辿る。しかしながら、失明に至る病気ではないため患者自身も注意を怠りやすい。

 ドライアイとは、涙の分泌量が減ったり、量は十分でも涙の質が低下したりなどで、目の表面を潤す力が低下した状態をいう。

 現在、日本では約2000万人がドライアイに悩んでいるとされ、目の疲れやかすみだけではなく、目の表面が乾燥することによる刺激で涙が出ることもあるという。

 ドライアイの重症化が仕事の生産性に悪影響を及ぼすことは過去にも報告されている。

スマホアプリで大規模データ収集に成功

IoMT学会で登壇する順天堂大学医学部附属順天堂医院の眼科医、猪俣武範さん

 猪俣さんは、現在、国内外でドライアイに関する大規模臨床研究に取り組む。

 ドライアイと睡眠や運動、腸内バランスの関係を明らかにしようと、米アップルが提供するヘルスケア研究に特化した「Research Kit」を用いてiPhoneのアプリ「ドライアイリズム」を開発し、2016年11月から提供している。

 国内ではすでに約2万人がアプリをダウンロードしてドライアイ指数を図っているという。

 「自分の健康管理のためとはいえ、煩雑な作業を伴うアプリは使われない」と猪俣さん。ドライアイの診察で広く用いられる12項目の質問への回答や生活習慣の記録なども直感的にタップするだけの簡便さにこだわったという。

 「まばたきを何秒我慢できるか」という遊び感覚で、毎日、目の健康チェックをしたり、アプリで得られるドライアイスコアをSNSで共有したりできる。