今やライバルは米アップルやカナダRIM(リサーチ・イン・モーション)だけではないという状況が生まれているのだ。
また米国ではまもなく携帯電話キャリア最大手のベライゾン・ワイヤレスに対応した「アイフォーン(iPhone)」が登場すると言われている。
モトローラにとってベライゾンは重要なビジネスパートナー。ベライゾンのスマートフォン出荷台数全体に占めるモトローラ端末の割合は37%という状況で、これはつまりモトローラのベライゾンへの依存度の高さを示している。
ベライゾンがアイフォーンを扱うようになり、主軸を他社メーカーに移すようになれば、モトローラの業績にも当然影響が出てくるというわけだ。
携帯電話市場は復活が極めて困難
2007年まで世界第2位だったモトローラの携帯電話市場シェアは、今では7位に転落している。
10年前の携帯電話市場は、スウェーデンのエリクソン、フランスのアルカテル、ドイツのシーメンスが上位5位に入っており、3社はフィンランドのノキアやモトローラとライバル関係にあった。しかし各社が合弁事業化を進めたり、事業撤退した結果、市場勢力図は大きく変化した。
かつて業界に君臨していた企業でも、一度地盤を崩してしまうと元の地位には戻れないのが携帯電話市場。ブルームバーグの記事はそう指摘している。
モトローラ・モビリティのサンジェイ・ジャ最高経営責任者兼会長〔AFPBB News〕
そうした中、モトローラが復活の起爆剤と考えているのがタブレット端末だ。モトローラ・モビリティのサンジェイ・ジャ最高経営責任者(CEO)兼会長は、2011年の早い時期にもアンドロイド搭載のタブレットを市場投入すると述べている。
アップルの「アイパッド(iPad)」やサムスン電子の「ギャラクシータブ(GALAXY Tab)」に対抗する様々な機種を投入し、モバイル事業を立て直すと意気込みを示している。
ただ、タブレット端末は製品の差異化が難しく、携帯電話と同様に競争激しい市場だ。今回の分社化に伴って業界のさらなる再編の可能性も出てきたとアナリストは指摘している。
英フィナンシャル・タイムズは、モトローラのモバイル部門が独立したことで、買収のターゲットになるのではないかと伝えている。例えば中国のファーウェイ(華為技術)、ZTE(中興通信)、米デル、英ソニー・エリクソンといった企業が興味を示すのではないかとしている。

