今まで安全確実と言われてきた日本国債の発行不能状態は、日本の財政の絶望的な悪化と国債のバブル状態との異常な落差に世界の耳目を集めるだろう。
しかも、その時に、もし国会が解散し総選挙に入って、国家の管理能力に空白が生じれば何が起きるだろうか。
少なくとも、市場参加者には格好の「売り」の舞台を提供するだろう。その時、国民の財産と生命を守れるのか。久しく問われなかった難問に日本は直面するはずである。
国家予算を弄ぶのは亡国の遊戯
政治報道によれば、来年度予算関連法案を人質にとって解散総選挙に追い込むのが野党の戦略だそうだ。
しかし、危機を目前にして国会の権能を政争の具にすることなど、氷山を前にしたタイタニック号でダンスにうつつを抜かすようなものではないか。
とりわけ、過去20年間に財政を崩壊させた旧政権党が政権欲しさに世界経済の大混乱の引き金を引けば、市場と国際社会と歴史から厳しい指弾を受けるだろう。
仮に、3月末の危機を政治が切り抜けたとしても、その先、事態はさらに悪化する危険性が高い。
6月末には、QE2と呼ばれる米国の金融緩和(あとで説明するがFRB=連邦準備制度の国債「全量買取」)が終わるためである。
それから先は「逢魔が時」だ。計算上、2012年末で、日本の政府部門の借金が国民の純金融資産を上回る。その中で日本国債を買い増すのは、(日本の株価が最高だった)1989年末に日本株を買うようなものだ、と思う投資家もこれから増えるだろう。