今年最初の東奔西走は重大な警告書になった。一気に読まないと、多面的な状況を把握して解決策を理解することはできないので、最後までお付き合いいただきたい。

 防災の基本は情報収集と事前準備であり、いざ発生した時の断固たる行動が生死を分ける。経済の巨大災害も変わらない。

 日本は、これから2年の間に、戦後最大の経済危機に直面するだろう。考察し、準備し、行動しなければ、日本は破綻する。詳しくは筆者の『ジャパン・ショック』(祥伝社)をお読みいただきたい。またこの問題に対するフォーラムも開催するが、ここではその解決策を紹介したい。

 日本の歴史をひもとけば、絶体絶命の危機ほど大復活を遂げ、世界を驚かせてきたことがよく分かる。それが日本の「国民力」ではないだろうか。

 今回の危機も同じだと思う。立場を超え、力を合わせれば、日本は奇跡の復活を遂げ、世界をリードする国家に生まれ変わると信じている。

驚異の高度成長を遂げた国債発行

 日本経済は「失われた」「ゼロ成長」の20年間とよく呼ばれるが、実はこの間に8倍もの高度成長を達成した巨大セクターが日本経済にはある。

 国債発行である。1990年度は21兆円だったものが2010年度は162兆円に増え、国内総生産(GDP)の34%にも達した。

 しかし、不思議なことに世間に流布している国債発行額は2010年度で44兆円しかないのである。それは世間で言う国債発行額は、「新規財源債」という種類の国債に限っているためだ。

 それ以外の、既存の国債の償還のために発行する「借換債」の103兆円や特殊法人や自治体に貸し付けるための「財投債」の15兆円は、政府が発表しマスコミが伝える「国債発行」には含まれていない。

 しかし、これら3種類の国債の違いは資金使途の違いに過ぎず、投資家から見たら全く同じものだ。

 このような情報開示は、企業会計ならば考えられない。もし、上場企業が、社債の借り換えや子会社への貸し付けのために発行する社債を財務諸表に記載しなければ、経営者は刑事罰に問われてしまう。