少々古くなるが、2012年に「韓国も注目、TPPも怖くない強い農業を実現した町」として宮崎県の綾町を紹介した。前田穣町長は次のように語る。
「ニーズを追うような企業はいずれ潰れる。生き残る企業はニーズを追うのではなくニーズを作っている。農業も同じ。大事なのはトレンドだ。次はこうなるというトレンドを読んで先手を打っていく必要がある」
綾町は日本の高度成長期にいまのTPPを予測していたかのように、40年前から町を挙げて有機栽培に取り組んできた。その結果、いまでは作付けした瞬間に売り先が決まると言われるほど安定した農業を展開している。
1世帯あたり90ヘクタールまで大規模化進む
前田町長は「TPPは全く怖くありませんよ。TPPが本当に怖いのは海外と同じような大規模農業を展開している北海道でしょう」と話す。
実際、更別村では新しいトレンドを読んでTPPに対処しようというよりも、さらなる大規模化で対抗しようとしているようにみえる。
更別村・企画政策課政策調整係の今野雅裕係長は次のように話す。
「更別村の農業は大規模化の勢いが止まりません。このまま行くと1戸当たりの耕作面積が90ヘクタール近くまでに達するのではないでしょうか」
90ヘクタールと言えば、現在の約2倍である。いまでも日本一の耕作面積を誇っているのだから圧倒的な大規模農家と言っていい。
ちなみに100ヘクタールには達しないのか今野係長に聞いてみた。答えは「個人経営の限界ですから」だった。農業法人化して外から労働力を入れない限り100ヘクタールの壁は乗り越えられないと言う。