「もっともトラクターも“外車”なので、それが保有率を高めているという事情はあります。しかし、大規模農家さんの多くが高級乗用車に乗っているのは事実です」
北村さんは外車保有率日本一の理由をこう種明かしするが、本州の農村部の狭い道で大活躍している軽自動車が似合わないのは間違いない。
農家1戸当たりの平均収入は約5000万円。経費などを差し引いた世帯所得は約1500万円になるという。11月から3月までは厳しい冬で農作業ができないため、米国や欧州、オーストラリアへ研修に行く農家も多いそうだ。
パチンコの売り上げも日本屈指
一方で、「パチンコの売り上げも日本屈指。ほかに大した娯楽もないので仕方がないのでしょうね」と北村さん。高い所得を生かしてエンターテインメント産業(?)にも貢献しているようだ。
仕事も豪快、研修も遊びも豪快。日本の逞しい豪農の人たちが集まった村なのだ。しかし、そんな豊かな村にも悩みがある。
大規模化の成功体験から抜け出すことができないのだ。
確かに今の状況は北海道の大規模農家にとって良い環境であることに間違いはない。しかし、米国が脱退を宣言したとはいえTPP(環太平洋パートナーシップ)協定の推進に日本は進んでいる。
そうなれば、北海道よりはるかに大規模な農業を展開するオーストラリアやニュージーランドなどから安い農産物が入ってくる。大規模化だけでは対抗するのは難しい。
更別村など十勝地方で作られているのは、じゃがいもやグラニュー糖の原料となるビート、小麦、たまねぎなど、大規模化に向いた農作物で、日持ちがするために輸入農作物と真っ向勝負になる。