赤ん坊のライフ・ロールは[子ども]だけだが、学校に入ると[子ども]と[学生]になり、友達同士で遊び出すと[余暇人]が加わる。アルバイトを始めるとさらに[職業人]が追加され、成人し選挙権を持つと[市民]にもなる。一方、定年し仕事を辞めると[職業人]ではなくなり、親が他界すれば[子ども]のロールも失う。このようにライフ・ロールの組み合わせは、その時々で変わっていく。

ライフキャリア・レインボーの図。ドナルド・スーパーらの“Life Roles, Values, and Careers: International Findings of the Work Importance Study”を参考に作成。
拡大画像表示

 働き方改革のリーディング・カンパニーは、最近、社員が社会人大学での学ぶこと、サークル活動に対する支援も拡充し始めている。[学生]や[余暇]というロールも、[親]や[子ども]と同じように尊重されて当然だという考え方からだ。特に、100年人生の後半になると、[親]や[子ども]などのロールは必要なくなり、[余暇]や[市民]といったロールの重要性が増していくだろう。

 キャリア観4.0では、[職業人]と[親][子ども]などの家庭人のロールに限らず、[学生]や[余暇人][市民]といった、多彩なロールの組み合わせが当たり前である。しかも、ライフ・ロールの組み合わせは、ライフ・ステージごとに変わる。キャリア観が職業キャリアからライフキャリアに広がり、さらに自分らしいライフ・ロールの組み合わせを求めるようになるのがキャリア観4.0の特徴だ。

 いつ、どんな、ライフ・ロールを担うのか。それらをどんなバランスで組み合わせるのか。ライフキャリア・レインボーは十人十色だ。一人ひとり異なるライフキャリアに優劣などはなく、ライフキャリアに“成功”という考え方はそぐわない。ライフキャリアで大切なのは、自身がこれでよかったと思えるかどうかだけだ。

 私たちは今、「職業キャリアの成功」から「ライフキャリアの充実」にパラダイムが変わる転換点にいる。100年の人生で、私らしいライフキャリア・レインボーを実現できたら、それはきっと、とても豊かなものだろう。